2026年4月、ニューヨーク原油市場でWTI先物価格が92ドル台を記録し、2023年9月以来の高値を更新した。アメリカとイランの攻撃応酬が長期化する懸念から、ホルムズ海峡封鎖による供給不安が急速に高まっている。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約5分の1が通過する戦略的要衝である。この海峡が封鎖されれば、日本を含むアジア諸国へのエネルギー供給が深刻な打撃を受ける。地政学リスクがいかに世界経済の脆弱性を露呈させるかを示す典型例といえる。
原油価格の急騰は単なる燃料費の上昇にとどまらない。航空運賃や物流コストの増加により、食品から工業製品まであらゆる商品価格が連鎖的に上昇する。インフレ圧力が再燃すれば、各国中央銀行は金融政策の舵取りを迫られることになる。
日本経済への影響は特に深刻だ。エネルギー自給率が低い日本は、原油価格上昇の影響を直接的に受ける。円安が進行している現状では、輸入物価の上昇がさらに加速し、家計や企業の負担が一層重くなる可能性が高い。
企業は今こそエネルギー調達の多様化とリスク分散を進めるべきである。再生可能エネルギーへの投資加速や、供給源の地域的分散は短期的にはコストがかかるが、長期的なレジリエンス強化には不可欠だ。過去の石油危機から学んだ教訓を活かす時である。
個人レベルでも、エネルギー価格変動への備えが求められる。家計支出の見直しや、省エネ製品への切り替えなど、できる対策は多い。投資においても、エネルギー関連銘柄の動向を注視し、ポートフォリオの再考が必要になるだろう。
中東情勢の不安定化は一時的な現象ではなく、構造的な問題である。エネルギー安全保障と経済安定性のバランスをいかに取るかが、今後の世界経済の鍵を握る。この危機を契機に、持続可能なエネルギーシステムへの転換を加速させるべきだ。