2026年、キューバで1週間のうちに2度目となる全国規模の停電が発生し、1000万人を超える国民が電気のない生活を強いられた。米国がベネズエラからの燃料供給を遮断したことが直接的な引き金となり、長年放置されてきた老朽化インフラの限界が露呈する形となった。
この事態は単なる一国の電力危機ではなく、経済制裁が市民生活に与える影響と、インフラ投資の重要性を改めて浮き彫りにしている。キューバの電力網は1950年代から大きな更新がなされておらず、発電設備の多くが設計寿命をはるかに超えて稼働している。こうした状況下で外部からの燃料供給が途絶えれば、システム全体が崩壊するのは必然だった。
注目すべきは、現代社会における電力インフラの重要性である。医療、通信、食料保存、水供給といった生命維持に不可欠なサービスがすべて電力に依存している今、停電は単なる不便ではなく人道危機となる。キューバの事例は、電力の安定供給がいかに社会の基盤であるかを示している。
経済制裁という政治的手段が、結果的に一般市民の生活を直撃する構造も見逃せない。米国の制裁はキューバ政府を対象としているが、実際に苦しむのは病院で治療を受けられない患者や、冷蔵庫が使えず食料を失う家庭である。政治と人道のバランスをどう取るかは、国際社会が直面する重要な課題だ。
一方で、この危機はエネルギー自立の重要性も教えてくれる。再生可能エネルギーや分散型電源の導入は、外部依存を減らし、システムの強靭性を高める。キューバのような孤立しがちな国にこそ、太陽光や風力といった自給可能なエネルギー源への転換が求められる。
日本も他人事ではない。老朽化するインフラの更新、エネルギー安全保障の確保、災害時のレジリエンス強化といった課題は共通している。キューバの停電は、インフラ投資を怠れば社会全体が機能不全に陥るという警鐘である。
私たちが学ぶべきは、電力インフラの維持には継続的な投資と技術革新が不可欠だということだ。そして政治的対立が市民生活を脅かす構造を変えていくには、エネルギー自立と国際協調の両面からのアプローチが必要である。キューバの暗闇は、世界中の電力システムの脆弱性を照らし出している。